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【本・感想】昔の女性はできていた/三砂ちづる

昔の女性はできていた
昔の女性はできていた 
― 忘れられている女性の身体に“在る”力 ―
宝島社 三砂ちづる (amazon)


 この本はズバリ、昔の女性は月経血コントロールができた(つまり月経中の出血を自分で止めておいて、トイレに行くたびに腹圧で出していた)らしい、というのがテーマです。

 げ、マジで? と思いつつも、いやそれができたらすげー便利、と興味本位で読了。

 しかし結論だけからいうと、本の内容には大分がっかりでした。

 もうちょっとこう、科学的というか学術的というか、客観的な立場から、「昔の女性は全員できていたのか、できていたとしたらどうやっていたのか」「現代の女性にも可能なのか、どうすれば可能になるのか」というようなことを説明していってくれることを期待していたのですが、むしろ「昔の女性はすばらしい、昔の日本万歳」みたいなノリを感じてしまい…。

 まず絶対的にサンプル数が少なすぎでしょう。体験談を集めた体裁なんですが、「昔の女性」としてはっきり「できた」と語っているのはたった一人、「今の女性」で「できる」と語っている人が一人…。そして月経血コントロールに重要なのは骨盤底筋らしい、というのはいいんですが、「昔の女性は雑巾がけをしたり、はたきをかけたりしていたので、今の女性にくらべて骨盤底筋が鍛えられていた」とか言われると、なんかもうげんなりしてしまいます。(いや別にそれが嘘だというつもりはないですが、そういうことを言うなら根拠を挙げて欲しいというか) 
 さらに、骨盤底筋を鍛えるには運動科学総合研究所所長の高岡英夫という人が開発したゆる体操というのをすると良いのだそうです。本の後半にはこのゆる体操を実践した人の月経血がコントロールできるようになったとか生理が軽くなったとかいう体験談が4人分くらい載っているのですが、結局全部で何人が試してみてそのうち何人がどのくらいの期間でできるようになったのか、とかそいうデータがないのが残念。

 えー、まとめると、「月経血コントロールはすばらしい」「ゆる体操はすごい」、ということを伝えたいという熱意は感じるのですが、何かを証明しようとか説明しようとか真実を見極めよういう熱意があまり感じられなかったのががっかり、ということでしょうか。

 あ、あともう一つの個人的ながっかりポイントとしては、月経血コントロールをできると言ってる人でも、一番多い時期にはなるべく動き回らず一時間に一回くらいのペースでトイレで出さなければいけない、とかで…。生理の真っ最中でも山に登りっぱなしだったりチャリに乗りっぱなしだったり、そもそもトイレは一日2回いければ御の字、という今の仕事ではあまり現実的じゃないなあ、と。おとなしくタンポンとナプキンという文明の利器に頼ったほうがよさそう。

 もっとも、せっかく読んだことだし、次の生理には是非実験してみたいなあとは思っていますが。いつに無く次の生理が楽しみ、という意味では読む価値のある本でした。
by varaqui | 2006-01-26 21:43 |
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